フィリピン式
昨日は、大学の同期の人達との飲み会でした。
仙台に残っている人は自分と同じ博士課程の学生が多いのですが、昨日は2人ほど学生ではない人が混ざっていました。(学生は4人。6人で飲みました。)
一人は有給を取って遊びに来ていて、もう一人は修士が終わったあと単身フィリピンで2年間働いて、先日帰国したばかりで。
なかなか面白いメンバーで飲むことが出来ました。
特にフィリピン帰りの人と会うのは久しぶりだったことに加え、向こうでの興味深い話を聞くことができたために、とても面白かったです。
女性で一人でフィリピンで2年というのは、自分には真似できないなあ、とずっと思っていたこともあり、話を聞くのを凄く楽しみにしていました。

「フィリピンは楽しかった?」との質問に対して「あの国は中身がないからつまらなかった」と一刀両断していたあたり、「相変わらずだなあ」と一番面白かったです。
二番目に面白かったのは、向こうでは丁寧に表現するときに語尾に「ポ」をつけるらしいんです。
例えば「Thank you ポ」のように。
興味深かったので、この文章はフィリピン式で書いてみるポ。

今回は同期の人達が集まって飲みましたけど、実はこれは凄く珍しいというか、初めてのことだポ。
修士の頃まではもっと人数も居ましたし、同期同士の仲も良かったので、割と頻繁に飲み会が開催されていたポ。
でも、博士課程に残った人達の立ち位置というかスタンスというか、そういうのがあんまり被らなくて適度な距離感を持っていたために、残った人達同士で遊ぶ、ということは今までなかったんポ。
今回はちょうどトリガーとして「友人の帰国」があったために、開催されて、しかも結構楽しかったので「またやろう」と言う話になり、これはちょっと楽しみだポ。
もちろん一人で飲むのもいいと思うポ。
ミスターポポポ。
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誕生日を祝うためには
本日9月3日はドラえもんの誕生日です。
ドラえもんはロボットなので事情は少し違いますが、誕生日を祝うためには「誕生」が無事に行われなければなりません。
そして、その誕生をサポートしてくれる存在が、産科医のお医者さん達です。
この産科医のお医者さん達を取り巻く状況が、あまりにも過酷であると感じたため、今回の記事にすることにしました。
すでに私よりも詳しい方々が各所で報じられているので、興味のある方は是非調べてみてください。

先週、奈良でマスコミが報じるところによると「たらい回し」での死産があったことは記憶に新しいと思います。
奈良妊婦死産:最初要請の病院 受け入れに余力
奈良県橿原市の妊婦(38)の胎児が救急搬送中に死亡した問題で、橿原消防署(中和広域消防組合)から最初に妊婦の受け入れを要請された県立医科大学付属病院(同市四条町)が、要請から約2時間のうちに、他の2人の妊婦を救急搬送で受け入れていたことが県の調べで分かった。病院に受け入れの余力がありながら、消防とのコミュニケーションの不備などで結果的にこの妊婦の受け入れができなかった。
毎日新聞 2007年8月30日 23時57分の記事より引用

これらの論調では、主に受け入れなかった病院側を非難するというものが多いように感じます。
これに対して、名指しで非難されている奈良県立医大が当日の勤務状況を公表しました。
その部分を引用します。
今般の妊婦救急搬送事案について
平成19年8月28日の当直日誌記録より
(産婦人科当直者 2名)
時間 対応内容

8月28日(火)夕方から抜粋

19:06
妊娠36週 前回帝王切開の患者が出血のため来院、診察後に帰宅
19:45
妊娠32週 妊娠高血圧のため救急患者が搬送され入院、重症管理中
09:00~23:00
婦人科の癌の手術が終了したのが23:00、医師一人が術後の経過観察
23:30
妊娠高血圧患者が胎盤早期剥離となり緊急帝王切開にて手術室に入室
23:36~00:08
緊急帝王切開手術
00:32
手術から帰室、医師一人が術後の処置・経過観察をする。重症のためその対応に朝まで追われる。妊婦の対応にもその都度応援する。当直外の1名の医師も重症患者の処置にあたり2:30ごろ帰宅

8月29日(水)

02:54
妊娠39週 陣痛のため妊婦A入院、処置
02:55
救急隊から1回目の電話が入る(医大事務当直より連絡があり当直医一人が事務に返事) 「お産の診察中で後にしてほしい」、そのあと4時頃まで連絡なし
03:32
妊娠40週 破水のため妊婦B入院、処置 (これで産科病棟満床となる)
04:00
開業医から分娩後の大量出血の連絡があり、搬送依頼あるが部屋がないため他の病棟に交渉
04:00頃
この直後に救急隊から2回目の電話が入る 「今、当直医が急患を送る先生と話しをしているので後で電話してほしい」旨、医大事務が説明したところ電話が切れた
05:30(病棟へ)
分娩後の大量出血患者を病棟に収容 (産科満床のため他の病棟で入院・処置)
05:55
妊婦Aの出産に立ち会う。その後も分娩後出血した患者の対応に追われる
08:30
当直者1名は外来など通常業務につく、もう1名は代務先の病院で24時間勤務につく
奈良県立医大が公表したのは事実だけで、他には何も主張していませんがが、事実の羅列は何よりも説得力を持っているように思います。
私はこれを信じられないほどの激務だと感じるのですが、これを見て「受け入れに余力」と感じる人も、いるのかもしれません。

私は過去に少し、分娩に関する研究に関わったことがあるのですが、「分娩」というのは生物にとって本当に大きなイベントです。
これ以上のイベントはないくらいに。
生体内では遺伝子レベルから臓器、個体レベルまでのあらゆるレベルで数多くの制御系が働いて、このイベントが為されます。
当然ですが、身体にかかる負担も大きく、危険を伴います。
この「分娩」という最前線で、ギリギリの状態で働いている産科医のお医者さん達がこのような報道による被害を受ける状況は、明らかにおかしいです。
批判されるべきは、病院でも医者でもなくシステムです。

最後に、この記事の一部を引用して終わりたいと思います。
asahi.com 医局の窓の向こう側 燃え尽きたら
「俺さぁ、もう、ほんと、辞めようかな」どんぶりに箸を突っこんだまま、T先生が顔を上げて宙を見つめた。
「産婦人科が大変だというのは、あちこちで言われてますよね。で、ご開業を考えてらっしゃるってことですか」真田、腰が引けた物言い。T先生の精気の抜けた顔を見ると、なんと声をかけてよいのやら。
T先生が産婦人科を選択したのは、数ある科の中で唯一「おめでとうございます」と言える科だったからとか。暗くなりがちな病院の中で、産婦人科だけはピンク色の壁紙で、赤ちゃんの泣き声がして、幸せそうだったから、と。
そもそもお産にはリスクが伴うものなのに「うまくいって当たり前、何かあったら医療ミス」の考え方がある。医療とは患者の体に介入することだ。100%安全はありえない。それを患者が忘れ始めている。T先生を追い詰めているのは、考え方の変わってきた(一部の)患者さんたちのようだった。
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メール
現代の荒波をどうにかこうにか超えていく身としては、メールアドレスの使い分けは結構大事だったりします。
あの人にはこのアドレスから、この人にはこのアドレスから、仕事はこのアドレスでブログはこれ、mixiはこっちであとは携帯、という感じで気付けば6個くらいアクティブなメールアドレスがありました。
流石に広げすぎたと反省しています。
ただ、なかなか一本化できないのも事実。
理想は仕事用、プライベート用、携帯の3つくらいに収束させることなんですが…。

最近、メールに関するトラブルがいくつか発生しました。
その内容と、解決できたものに関してはその解決方法を記しておきたいと思います。

トラブルその一。
先日、あるメールがGmailによって「迷惑メール」と認定されてしまい、1ヶ月近くそのメールに気付きませんでした。
私はメーラー(Mail.app)でGmailのメールをチェックしているため、ブラウザ上でログインすることは殆どありませんでした。
こうすると「迷惑メール」は分からないままになってしまって。
仕方ないので、今は一応毎日ブラウザ上でログインをして、迷惑メールにカテゴライズされたメールも眺めるようにしています。
ただ、結構な量の迷惑メールが来るんですよね。
迷惑メールは迷惑です。

トラブルその二。
Yahooメールもメーラーから使用しているのですが、「送信」の挙動がどうにもおかしいんです。
大学からは問題なく送信できるのに、自宅からは全く送信できませんでした。
少し調べてみたら、プロバイダによっては(dionとかodnとかplalaとか)そのプロバイダ以外のメールを弾いてしまうことがあるらしいとの情報がありました。
対処法としては送信メールのポートを「587」に設定して、「認証あり」とすれば大丈夫です。
プロバイダのメールなんて、パスワードを忘れて以来4年くらいチェックしてないので、このような仕様にされると少し困ります。

トラブルその三。
Gmailからメールを送ると、文字化けをしてしまうことがあります。
複数の人に言われているのでこちらの設定の問題だとは思うのですが、現在の所対処法が分かりません。
今のところ、Willcomのアドレスに送った場合と、hotmailに送った場合に「文字化けする」と言われました。
文字化けしないアドレスに対して送信するか、Gmail以外のアドレスから送信することで対処しています。
エンコード周りかな、とは思っているので、近いうちに対処したいです。

メールアドレスを使い分けていると、「どのアドレスに届いたメールか」という情報だけで、「どんな内容のメールが着たか」がある程度分かります。
そして私はこれらのメールを全て携帯(PHSですけど)に転送するようにしています。
アドレスごとに受信フォルダを変えているので、整理整頓もばっちりです。

ブルブル
あ、メールだ。
(メーラーを起動)

kasa(私用)
kasa(大学)(未読1)
dokotonaku
Yahoo
Gmail
PHS

いやもう、ホント、読みたくないメールであることが一目瞭然です。
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吹けよ風、飛べよ嵐
これから台風が接近することが確実視されている仙台市民としては、この暴風雨が楽しみで仕方ありません。
6日中に雨が降り始めるかと思っていたのですが、天気はどうにか持ちこたえて、正に「嵐の前の静けさ」と表現するのにピッタリの様子でした。
それでも、風は夜が更けると共に強くなり、空気は湿気を帯び、気圧が下がる様子が肌で感じられました。
髪の毛が湿気でうねり始めて、古傷が気圧の降下によってうずき始めて。

自分に直接の被害が及ばない限り、台風は何故だか凄くワクワクしてしまうイベントです。
窓ガラスを激しい雨と風とが叩いている様は、エキサイティングです。
なので少し不謹慎ですが、台風が近づくのを夜も寝ないで今や遅しと待ちかまえています。
多分、寝た方が色々と幸せだと思います。

台風が来ること自体は、私にとっては非常に楽しみな出来事です。
しかしこれは前述の通り「自分に直接の被害」が及んでしまった瞬間に、とてもタチの悪い天候に変容してしまいます。
そして、7日中にしなくてはならないことを考えた場合、「直接の被害」が及びそうなんです。

実は来週は横浜で学会でして、その準備に追われています(それ以外の雑務の方に時間を取られてしまって追われざるを得なくなってしまっています)
日曜には横浜へ向けて出発します。
今回の学会では、発表内容をポスターとして掲示する形式のため、そのポスターの準備をしないとなりません。
そしてそのポスターを「A0」の大きさで印刷しようとすると大型のプリンタが必要で、そのプリンタは一応平日にしか使えません(土日に使う方法もありますけど)
なので金曜日にはポスターを印刷しないとなりません。
このプリンターのある建物には、私の研究室がある建物からは屋外を通って2〜3分ほどかかります。
金曜は台風です。
ポスターは確実に風雨でぐしゃぐちょになりそうです。

窓の外では少し雨が降り出したようです。
蒸し暑い空気が嵐の到来を告げています。
これから何時間後かに目覚めたとき、どんな風景を見られるのか、凄く楽しみです。
色々諦めるくらいに雨風が強ければ良いのに、と少し期待しています。
家から出るのを諦めたいんです。
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漫画だと思ったら科学誌だった
生物学の分野で最も権威のある雑誌の一つに「Cell」があります。
このCellの最新号に掲載された論文をめぐり、特に日本で絶大な注目を集めています。
その論文の概要は以下のような感じです。
脳内の壊し屋タンパク質を発見(自然科学研究機構 生理学研究所、瀬藤光利準教授)
我々はシナプス伝達を制御するしくみとして、タンパク質分解に着目しました。なかでも、分解系の1つであるユビキチン・プロテアソーム系によるタンパク質分解がシナプスタンパク質の量を調節しているのではないかと考え、分解に重要な働きをしている因子を探索しました。ヒトゲノムのデータベースに基づいて探索を行った結果、我々はユビキチン・プロテアソーム系の分解酵素を発見し、"壊し屋タンパク質(SCRAPPER)"と名付けました。そして、生体内において実際に壊し屋タンパク質はシナプスで神経伝達物質が異常に放出されるのを抑えて『適度に』放出されるように調節していることを明らかにしました。
何のこっちゃ?と思われた方も多いかと思うので極々簡単に説明します。
神経細胞と神経細胞の繋がりは「シナプス」と呼ばれる接合部位(と構造)を取っていて、そのシナプスを介して情報のやり取りが行われています。
この作用には沢山のタンパク質が関わっているのですが、この情報のやり取りに必須のタンパク質の一つに「RIM1」というものがあります。
RIM1の量の調節は、この情報のやり取りの調節に重要で、RIM1を分解させることでその量を調節する因子として今回「SCRAPPER」が発見、解析されました。
「SCRAPPER」の仕事は、不要な「RIM1」に印を付けることです。
言うなれば「廃棄予定」のシールを貼り付ける仕事です(ユビキチン化と言います)。
このシールを貼られたRIM1は、タンパク質の分解経路に送られて、分解されます。
分解自体は「SCRAPPER」の仕事ではなく、印をつけるのが仕事です。

私はまだこの論文を読んでいないので、これ以上の説明はまだ出来ません。
そしてCellに掲載される論文というのは、「軽い気持ち」で読むことは困難です。
重厚でこってりした、文句の付け所が見あたらないような論文がCellには掲載されます。
正直、自分の中でCell以上の雑誌は存在しません。

この発見をしたグループは日本のグループなのですが、大変な名誉としてCellの表紙を飾ることになったみたいなんです。
そして、何を考えたのか、表紙を「荒木飛呂彦」氏に依頼しました。
知っている方は知っているかと思いますが、この人はかの「ジョジョの奇妙な冒険」の作者でして、「鬼才(奇才)」と表現するしかないような漫画家です。
表紙はこんな感じになりました。
繰り返しますが、世界で最も権威のある生物学の雑誌の表紙です。

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スタンド名;「SCRAPPER」
能力;タンパク質の破壊誘導

おれたちにできない事を平然とやってのけるッ! そこにシビれる!あこがれるゥ!
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